【開催報告】平成28年7月3、4日開催:平成28年度禅文化学林【2016.07.22更新】

2016.07.22

曹洞宗兵庫県第2宗務所青年会20周年記念
併修 全国曹洞宗青年会 禅文化学林
『支え合う~希望舞台、「焼け跡から」を通じて災害復興支援を考える』

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7月3日から4日の日程で、「曹洞宗兵庫県第2宗務所青年会20周年記念 併修 全国曹洞宗青年会 禅文化学林」が開催されました。
3日午後2時から、梅花流詠讃歌『大聖釈迦牟尼如来讃仰御詠歌(高嶺)』に詠われている入佐山で有名な兵庫県豊岡市出石町にある近畿地方最古の芝居小屋・永楽館で、
曹洞宗兵庫県第2宗務所青年会(以下、兵二曹青)20周年記念舞台「焼け跡から」の上演がありました。
当日は大変蒸し暑く、時折激しく雨が降る中ではありましたが、一般の方がたも大勢足を運んでいただきました。
この演劇は、藤本幸邦老師()と戦争孤児たちが出逢い、時代と共にもがきながら当時を生き抜く感動の物語であります。
会場からは時折、すすり泣く声が聞こえ、家族がいることや食べるものがあることが、決して当たり前ではないということ、
そして戦争は絶対にしてはいけないことを改めて考えさせる演劇でありました。

 

H28禅文化学林-諷経
4日午前9時から、城崎温泉 西村屋ホテル招月庭で、仏祖諷経を兵二曹青第10代会長河合正志師の導師でお勤めしました。
引き続き、全国曹洞宗青年会会長安逹瑞樹師の導師で、日本全国で起こっている天災により犠牲になられた方がたの慰霊法要をお勤めしました。

 

H28禅文化学林-グループトーク
午前9時35分からは、研修会第1部兵二曹青歴代会長のグループトークが行われました。
平成7年に起こった阪神淡路大震災でのボランティア活動をきっかけに発足した兵二曹青。
創立時の苦労や各期の出来事、ボランティア活動に対する熱い思いが話されました。
最後に初代会長平岩浩文老師から、
「続けること、受け継ぐことを忘れるな、そして人と人との間に垣根を作らずつながりを今一度大切にするように」
と青年会員に対し叱咤激励をいただきました。

 

H28禅文化学林-講演会
午前10時45分からは、研修会第2部、「青年会として 災害発生時の対応」と題し、
曹洞宗復興支援室分室主事/全曹青災害復興支援部アドバイザーである久間泰弘師から講演が行われました。
分室の活動内容として特にストックヤードについて、パワーポイントを使用しながら念入りにお話しをされました。
ストックヤード設置の効果として、マニュアルではない目に見える形として防災意識が高まる点や、
寺院が地域の命と暮らしをつなぐ場所になることで、コミュニティの重要性がより伝わり、
社会資源としての寺院であるという公益性が生まれることを強調されました。
そして、今自分がどこにいて何ができるのかということを、まずは話し合っていくことが必要であると話されました。
続いて、被災地の子どもたちの現状とアプローチについて、
「サイコロジカル・ファーストエイド (Psychological First Aid、以下PFA)」を紹介されました。
子どもの心には、地震などの大きな力で日常が壊された経験は、私たち大人の心よりも深く刻み込まれているそうです。
まずは何よりも、そばにいて寄り添うことの重要さを話されました。
最後に、私たちにできる2つの「安」を話されました。
1つ目は「安全」、これは命を支えるシステムです。
そして2つ目は「安心」、これは心を支える人的ネットワークです。
システムとネットワークで作る「安」、今後の復興支援活動、並びに各種災害への対応において大切な点であると感じました。
地震や風水害など、近年災害と隣り合わせの私たちです。
なぜ、僧侶はボランティアに向かうのか、僧侶とは何者なのか、しっかり話し合い、僧侶として何をすべきなのか考えさせられました。

 

藤本幸邦老師
1910(明治43)年生-2009(平成21)年寂。
長野県長野市円福寺住職、曹洞宗大本山布教師、曹洞宗北信越管区教化センター初代統監などを歴任。
第二次世界大戦終戦後の戦災孤児救済活動に尽力、「円福寺愛育園」を設立し子どもたちを育成した。
またカンボジアの学校寄付など、アジアの子どもたちへの支援活動に尽力した。
これらの活動が評価され、
勲五等端宝賞、仏教伝道文化賞、外務大臣表彰、正力松太郎賞などを受賞されている。

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