第22期会長 所信表明【2017.05.25】

2017年05月25日 / 全曹青からのお知らせ, 全曹青とは, 各期概要, 執行部

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全国曹洞宗青年会第22期会長 倉島隆行

 全国曹洞宗青年会(以下、全曹青)に三重県曹洞宗青年会から参加しております、倉島隆行と申します。昨年末の臨時総会による承認を経て第22期会長を拝命いたしました。宜しくお願いいたします。

 私は全曹青に第17期IT委員会(2007年。現、広報委員会内)から参加し、10年間の青春を全曹青の仲間とともに過ごしてきました。その間、社会情勢は目まぐるしく変化し、仏教界を取り巻く環境も少子高齢化による墓地の後継者問題、インターネットを使った僧侶派遣など、社会の情報化とともに「伝統」が徐々に置き去りにされ、一般大衆の心の変化を感じずにはいられません。その根底には仏教における「衆生の苦」があり、物質主義による経済発展のゆがみがもたらした環境問題として、現代人の心に重くのしかかっています。

 心の時代と言われた21世紀は、2001年アメリカ同時多発テロから始まり、現在も各地での内戦や領土問題などの緊張が続いています。国内に目を向けても年間2万人を超える自死者など人々の不安や精神的な安穏には程遠い状況が社会全体へと広がり、子ども達を取り巻く環境においては約6人に1人が「貧困」に該当するというデータも出ております。その声なき声に耳を澄ませようと始めたのが、全曹青第18期の基幹事業である「青年僧侶による電話相談」でした。この電話相談も次第に社会へ認知され、現在は回線が追いつかない程の相談が寄せられています。

 第19期発足前に東日本大震災が発生し、奇しくもこの傾聴研修への取り組みが被災地支援としての行茶活動に生かされ、その後のボランティア研修や災害備蓄(ストックヤード)など、様々な活動にも繋がったことはご承知の通りです。

 第20期の全曹青創立40周年記念事業では大本山總持寺様を会場に、次世代へ思いを繋ぐこと、また海外仏教徒との交流を目的とした『全国徒弟研修会with国際子ども禅の集い』を開催し、全日本仏教青年会や世界仏教徒青年連盟(WFBY)との連携も深めてきました。

 そして、第21期安逹瑞樹会長はスローガンである『笑顔の君と おなじ空を見上げて』に基づき、東日本大震災の被災地各所で人々と交流を深めると共に、東北管区の青年会を始めとする全国加盟曹青会の協力と沢山の方々の御尽力を頂戴し、平成29年3月10日には福島県圓通寺様を会場に東日本大震災七回忌慰霊復興法要を厳修しました。

 全曹青という青年僧侶が集う船で、新しい時代の黎明への舵取りを託された今、私の目指す先には歴代全曹青が羅針盤となり指し示した未来があります。第22期のスローガン『禅を世界へ、そして未来へ』を基に、全国加盟曹青会会員と共にこれから2年間活動してまいります。

 

全日本仏教青年会、世界仏教徒青年連盟との繋がり

 

 6月26日に開催される全日本仏教青年会(JYBA=All Japan Young Buddhist Association 以下、全日仏青)臨時理事会より全曹青が全日仏青事務局を運営し、第21期理事長を私が兼任させていただく御縁を頂戴しております。

 全日仏青は、1977年に設立された、日本全国の宗派・地域の垣根をこえて活動する仏教青年団体です。また全日仏青は世界仏教徒青年連盟(WFBY=World Fellowship of Buddhist Youth)の日本における唯一の地域センターでもあります。この世界仏教徒青年連盟には当会顧問である村山博雅師が会長代行の役職に就いており、これまでアジア諸国の青少年仏教徒との交流プログラムを推進してきました。

 今後、さらにグローバル化する社会の中で、各国仏教団体との確かなネットワークを構築しながら自国の信仰を見直し、現代社会に求められる寺院、そして僧侶像を求めていきます。宗派を超えた活動は新しい価値観が生まれるとともに現代社会への接点として繋がっていきます。全曹青内に設置される全日仏青特別委員会が中心となり、他宗派、更には関係諸団体と積極的に交流を深め「衆生の苦」に対する創造的協働を実現します。

 

世界仏教徒連盟・世界仏教徒青年連盟世界大会開催

 

 2018年11月に、世界仏教徒連盟・世界仏教徒青年連盟世界大会が大本山總持寺様を会場に開催されます。この大会は2年に1度、世界各国の仏教徒が一同に会して、お互いの親睦と情報交換を目的とした会議と、各国の伝統仏教を体験するプログラムが組まれます。更に記念法要や境内を解放した国際的なイベントも企画していきます。2020年東京オリンピック・パラリンピックも控え、2016年には2,400万人を超える訪日外国人旅行者が訪れる中、日本の茶道や華道などの伝統文化の中枢にある「禅の心」を広く国内外へ発信できるよう、全日仏青世界大会実行委員会を中心に企画運営してまいります。

 異なった文化が交わり新しい時代を想像していく。閉塞感がある現代日本社会に新たなうねりが起こる企画を、世界へと繋がる港の街「横浜」にある大本山總持寺様の「開かれた禅苑」を会場に青年僧侶が集い運営していきます。

 

各委員会の取り組み

 

 総合企画委員会は布教頒布事業を中心に、新たな頒布物や行事などを企画し、曹洞宗の教えを広く社会へ伝えられるよう運営していきます。関係諸団体、特に曹洞宗婦人会や慈善事業団体との連携を密にし、協議しながら現代社会に求められる頒布物を再考します。

 広報委員会は広報誌『SOUSEI』の編集発行、並びにHP『般若』の更新管理を継続しながら、日々進化するIT社会への対応を行います。また、第21期に開発した『アプリソウセイ』をさらに充実・活用し、各加盟曹青が配信した情報を集約し、連絡協議体として新たな社会との接点を求めます。そして、全曹青の活動を国内のみならず世界へと繋げるためのサイト構築を目指します。

 教化委員会では「禅からZEN」へという意識を持ち、伝統的な僧堂行持作法を伝えるのは勿論のこと、新しい形の教化活動に取り組みます。精進料理や坐禅などを、一般大衆だけでなく訪日外国人にも理解し易く伝えられるよう工夫をしてまいります。また『緑蔭禅の集い』を次世代の青年僧侶へ継承していく為に再構築し、青少年から高齢者まで広くお寺に集える企画を参究していきます。

 

特別委員会の取り組み

 

 全日仏青特別委員会は各伝統仏教教団との協働が求められる現代において、全日仏青やWFBYとの連携を図りながら、2018年に開催される世界大会を念頭に全日仏青通常会務運営と大会へ向けた企画運営を行います。東大寺『仏法興隆花まつり千僧法要』は昭和63年(1988年)に全曹青と南都二六会が企画し開催されました。来年30周年を迎えるにあたり青年僧侶ならではの柔軟な発想と行動力でネットワークを繋げていきます。

 災害復興支援部は従来の支援活動と併せて、これまでの経験を生かし、今後起こりうる地震災害や風水害に備えるために寺院はどのような対応をするべきか考え提案していきます。南海トラフ巨大地震対策が急がれる中、寺院におけるストックヤードを拡大し、インターネットを活用した情報共有を促進していきます。

 臨床宗教師特別委員会では資格を取得した青年僧侶と共に、その活動の意義と活動を共有し、終末期にある人に対する宗教者としての寄り添いについて研修会を企画し開催します。全日仏青が取り組んでいる諸宗教対話や安寧僧養成事業ともリンクし、これからの社会における宗教者の役割について参究していきます。

 

世界へ、そして未来へ

 

 今、青年会活動は世界へと羽ばたきながら、現代社会における自国の寺院、自坊の在り方を見つめ直さなければなりません。マインドフルネスやヨガ瞑想が求められる背景に、ストレス社会における心の平穏が現代人の大きな願いであることが透けて見えます。先般、一般社団法人『お寺の未来』が実施した「寺院・僧侶に関する生活者の意識調査』では、実に54%の方が「檀家ではない」と回答し、「分からない」と回答した人が17%という結果が出ています。そして、曹洞宗で実施された最新の『宗勢総合調査』による寺院活動状況の「あなたのお寺ではどのような教化活動を主催しているか」という問いにも、32,2%が「何もしていない」と答え、「坐禅会」が19,9%という結果が出ました。この数字を直視した時、我々は明るい未来を想像できると胸を張って言えるでしょうか?

 今こそ全曹青発足当時の理念であった『大衆教化の接点を求めて』の原点に戻り、その接点を真剣に求めていかなければなりません。その大衆とはまさしく目の前にいる生活者です。生活者を真に理解する(=understand 対象の中に身を置いて、そのもの自身を内側から見通す)には我々が社会の何処に立つのかが問われてきます。教化の接点とは、全曹青の中だけではなく一般生活者や他宗・他団体との交流の中から、改めて自己認識できるものと考えます。

 今、第22期は新しい帆を揚げました。曹洞の禅風のみならず、日本仏教界における先達の情熱が込められた風を満帆に受けて大海原へ出航します。その船上に皆様と共に立ち、人類が今、どのような希求を抱えているのか、そして如何にすれば曹洞禅がこの世界の未来に寄与するのかを問いながら航海を継続してまいります。

 全曹青、並びに全日仏青への更なるご理解とご協力をお願いし、私の所信とさせていただきます。

合掌