東海管区大会併催にて、第3回傾聴研修会(静岡)が開催されました。

2014.11.03

平成26年10月16日から17日の2日間、第38回東海管区曹洞宗青年会大会との併催で、全国曹洞宗青年会40周年記念事業傾聴研修会が、静岡県掛川市掛川グランドホテルを会場に開催されました。

大会テーマ「いのちの声に耳を澄ます」に沿った研修を、東海管区を中心に100人ほどの青年宗侶が学びました。

 

初日は「佐賀のホスピスを進める会」の平川義雄師(佐賀県大弘寺御住職)、五十嵐雄道師(浄土真宗本願寺派 佐賀県円光寺御住職)のお二方を特別講師にお招きし、『観世ふぉん』特別委員会が講師を務めました。

先ず、『観世ふぉん』特別委員からは、宗侶が普段宗教家として人の死に向き合う時、遺された人の不安や混乱を如何に受け止めるかという問題の一助として、2日間の研修の目的や意義についてお話いただきました。

次に、平川師から佐賀のホスピスを進める会の活動(会の設立、学習会・講演会の開催、小・中・高・専門学校・医大での「いのちの授業」)をご紹介いただき、実際に行っている授業のひとつとして、自分が生まれてこれまでの感情を年代・時事ごとにふりかえり、未来を仮想する「ライフライン図(人生の一筆書き)」の作成を参加者全員が行い、代表3名の発表では、過去のエピソードやその時の感情だけでなくこれから起こるであろう未来予想図も披露され、会場は笑いに包まれました。また、ホスピス病棟への子どもたちの訪問、その時感じたことを下級生に伝えるプレゼンを通して、命の重さや尊厳を感じ・伝える「生と死への準備教育」の取り組みが紹介されました。

続いて、五十嵐師からは人間にとって深い悩みである「命を終える」ということを自ら体験する「死の体験旅行のワーク」が行われました。死の想像で大事なのは「死後の世界」ではなく「私の消滅」であるという事前説明の後、一人の人生が終焉を迎える物語を静かに朗読され、その途中で、事前にリストアップした「自らの大切なもの、欲しいもの」を一つずつ失っていくという過程をナレーションに基づき疑似体験するワークに会場は一時静まり返りしました。

ワーク後、各グループに分かれての感想の共有では、堰を切ったかのように様々な意見が出ました。平川・五十嵐両師のまとめの中で「人は生きてきたようにしか死ねない。良い悪いではなく、如何に生きるか。これを考えることが大事」という言葉が、深く印象に残りました。

 

2日目は、先ず、『観世ふぉん』特別委員から「傾聴の基礎」について学びました。

相談者と共に悩み、結局答えが出ないこともあるが、一緒に考えた経験と時間の共有が信頼関係を構築することになる。最終的な目的は「相手の自立」であり、相談者自身が問題を解決する為の手助けとしての傾聴は、相手の中の「解決する力」を信じられるかが重要だと説明されました。

その後、3人1組に分かれて「相談者」「受け手」「観察者(第三者)」の役割を交代しながら全て務める「シナリオロールプレイ」が行われました。実際に相談を受けることはあっても、相談を第三者の立場で聴くことはほとんどなく、「観察者」を体験した参加者の方がたは色々な気付きがあったと述べられていました。質疑応答も実際の傾聴の場面での具体的な対応の仕方など活発な意見交換があり、まとめの中で「我々は説得することは学ぶが、話を引き出すことはなかなか学ぶ機会がない。相手に自身の問題や悩みを如何に語ってもらうかということが聴き手の人間力と姿勢に表れる」という一節が、今回の傾聴研修会を通して参加者の皆様にお伝えする主眼のひとつであったと感じました。

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