曹洞宗について

曹洞宗

お釈迦さま以来、歴代の祖師方によって相続されてきた「正伝の仏法」を拠りどころとする宗派。今から八百年ほど前の鎌倉時代に、「道元禅師」が正伝の仏法を中国から日本に伝え、「瑩山禅師」が全国に広められ、曹洞宗の礎を築かれた。このお二方を両祖とし、ご本尊の「お釈迦さま(釈迦牟尼仏)」とともに、「一仏両祖」として仰ぐ。
曹洞宗は坐禅の教えを依りどころにしており、坐禅の実践によって得る身と心のやすらぎが、そのまま「仏の姿」であると自覚することにある。そして坐禅の精神が生活の全てに安住し、お互いに安らかでおだやかな日々を送ることに、人間として生まれてきたこの世に価値を見いだすことを旨とする。
本山は福井県吉田郡永平寺町にある「大本山永平寺」と神奈川県横浜市にある「大本山總持寺」で、両大本山は曹洞宗寺院の根本であり、信仰の源である。

典座

禅宗の寺院においての僧侶やお寺への参拝者の食事を司る役職。
仏道修行に励む僧堂に於いて、調理を司る典座職は、曹洞宗で六知事という重要な六人のうちの欠かせない一人であり、典座の教えは調理のみならず仏道を歩むうえでとても大切な教えを多く含む。
その時代、炊事係は新米の役回りとされたり、低く見られがちな職務であった。しかし調理や食事も重要な修行とする曹洞宗では重要な役職とされ、曹洞宗の教えを日本に伝えた道元禅師は著作「典座教訓」の冒頭で、典座には古来より修行経験が深く信任のある僧が任命されてきたことを述べている。日本の現在の曹洞宗寺院においても重要視される職務である。

典座教訓

道元禅師が著わされた「永平清規」のなかのひとつ。修行僧の食事供養をするために、「典座」という役職があり、古来より仏道修行をして悟りを得ようと志を高く持った僧が担う役職であることが記されている。それはまさに、典座の職務が仏道修行に励むことそのものという事である。また、道元禅師が中国へ渡り修行した際の老典座との出会いから禅修行の本質に目覚められた模様や、調理を司る典座の職務や、それに必要な三心(喜心・老心・大心)の心構えなど、その内容は単に調理場の教えに留まらず、広く仏教の教えに通じている。